「それは良かった。だが、喜ぶのは後にして、試合を続行するかね?このままだと、没収試合になる。」

はっと我に返った彩が「試合再開!」と叫び、それは君が言う事じゃないと審判に再び注意を受けた。

*****

里流にとって部活の時間は、人生の中で最も煌めいた大切なものだった。
彩と仲間と過ごす毎日が、どれほどかけがえのない日々だったか、後に里流は懐かしく振り返った。
それは彩にとっても同じようなものだったろうか。




本日もお読みいただきありがとうございます。(〃???〃)

「やったな、里流!」(ノ′▽`)ノヽ(′▽`ヽ)「やった~キャプテン。おれ、がんばりました~」
チームメイトにも愛されている里流です。
でも、幸せって長く続かないのですよね~ (′-ω-`)ふむ~

彩は自転車置き場まで追って来た里流の言葉に、少し驚いていた。
面倒を見て来た後輩が、最後に自分の事を好きでしたと打ち明けた。
どこまでも生真面目な必死の瞳に、彩もはぐらかさずにきちんと答えた。

「里流。俺は自分がしたいことをやっただけだ。忘れるなよ、頑張ったのは里流自身なんだからな。里流は自分の力で、ここまで来たんだ。」

「はい。」

「里流が頑張ったから、他の奴も続いたんだ。練習試合も組かったチームが、この一年で向こうから声を掛けてくれるまでになったんだからな。俺の背中を里流たように、今度は他の奴に追わせてやれ。来年一年生が入って来るまで、くじけずに頑張れよ、新キャプテン。」

「は……い……」

ごしごしと目許を拭う里流に、彩は近付いた。

「あのな。俺も里流の事、ずっと好きだったぞ。あんまりひたむきなんで、こっちが不純な気持ちで眺めるのは良くないと思って自制してた。正直言うと、時々やばかった。男同士なのにこんな気持ちになるなんて、不思議だと自分でも思う。」

「……おれも、初めてで……自分でもわけわかんないです……キャプテンに認めて貰いたくて、頑張ったんです。」